退職について必要な手続をご紹介します。
失業中とはいえ、病気やケガなど万が一の時のために医療保険に加入する必要があります。「どうせ短期間だから」「体には自信がある」「保険料がもったいない」などという理由で手続きをしないと、いざ病気にかかっても診療費は全額自己負担となってしまいます。
一般的な会社員であった人が退職後に加入することとなる医療保険は、「自営業者や失業中の人」が対象となる国民健康保険か、在職中に加入していた保険を引き継いで利用できる任意継続制度 、もしくは家族の扶養となるはずです。2003年から被保険者と被扶養者(配偶者、子、孫、弟妹など主として被保険者に生計を維持されている人)の一部負担金がどちらの保険制度でも3割となりましたので、保険料や給付の種類をしっかり確認した上で選びましょう。
手続期間/【国民健康保険】退職の翌日から14日以内、【健康保険任意継続】退職の翌日から20日以内
書類の提出先/【国民健康保険】加入していた健康保険組合・居住地の社会保険事務所、【健康保険任意継続】居住先の市区町村役所、役場
持参するもの/【国民健康保険】退職したことを証明する書類(離職票など)・印鑑・国民健康保険資格取得届、
【健康保険任意継続】健康保険任意継続被保険者資格取得申請書・印鑑・(被扶養者がいる場合)住民票、健康保険扶養者届
保険料/【国民健康保険】市区町村により異なる、【健康保険任意継続】 毎月1~10日までに納付
離職後に加入することができる健康保険のひとつに「国民健康保険」があります。
加入の対象は主に自営業者や失業中の人となります。
診療費の自己負担は3割、保険料は前年の所得により算出されるため個人差がありますので、役所等で相談した方が良いでしょう。
手続きは、住んでいる市区町村の役場・役所にて行います。必要ものは、印鑑とそれまで加入していた健康保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類の2つ。
この書類は勤めていた会社が発行してくれますが、具体的には退職証明書・離職票・健康保険資格喪失証明書等のうちどれか1通という事になります。(同じ世帯で既に国民健康保険に加入している方がいる場合は国民健康保険証、退職による年金を受給している方で、老人保健に該当していない方は厚生年金・共済年金の年金証書がそれぞれ必要です)
また、被保険者でなくなった日から14日以内に手続きを済ませるように注意しましょう。
この国民健康保険のひとつとして、「退職者医療保険」があります。
老齢厚生年金などの受給者で、年金加入期間が20年以上、または40歳以後の年金加入期間が10年以上ある人が希望すれば加入する事が可能。自己負担は3割です。
14日以内に手続きしなければならないとはいっても、これを過ぎたからといって加入できないというわけではありません。ですが、例えば3ヶ月後に加入しようとしても、資格を喪失してからの保険料をさかのぼって支払わないといけないため意味がありません。
任意継続制度は、会社退職日まで継続して2ヶ月以上健康保険に加入していると利用することができます。手続きの期間は、会社退職日の翌日から20日以内です。
この制度で注目したいのは保険料です。国民健康保険の保険料は、前年の所得から算出されます。起業後まもない時期に在職時の前年の収入で算出された保険料の負担はバカになりません。その点、任意継続制度の保険料は、
・退職時の標準報酬月額×8.2%
・加入していた健康保険の全保険者の標準報酬月額平均値×8.2%
のいずれか低いほうとなります。このような方法で算出された保険料は、国民健康保険に比べ安くなる場合があります。
保険料は全額自己負担、毎月の保険料の直接納付、納付が1日でも遅れると資格を喪失など、在職時の健康保険との相違はありますが、会社退職前に前年の所得から算出される国民健康保険料とご自分の標準報酬月額を確認しておき、どちらの制度を利用したほうが保険料を安くすることができるかを考えてから、退職後の健康保険に加入することをお進めします